お天気雨の奇跡(小説版)

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父に言わせると、男の子は特別なのだ。 父は、ぼくが生まれた時にこう考えたらしい。 自分の息子が、自然の美しさ、素晴らしさに最初に接して感動するところを、たくさん見守りたい、と。 そして、最初の虹をいっしょに見たい、そう願ったのだった。 突然のお天気雨が、虹がでることを父に教えた。 でも、ぼくたちの部屋は西側にある。 そこからは、夕日が作る虹を見ることはできない。 だから父は、東に窓があるラウンジに、ぼくを連れて来たのだ。 そして、ぼくは生まれて初めて虹を見ることができた。 しかも、虹が現れるその瞬間から! これは、やはりちょっとした奇跡なのではないだろうか。
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