お天気雨の奇跡(小説版)

4/13
前へ
/13ページ
次へ
その頃、ぼくは電車に夢中だった。 3才の男の子なら、誰だってそうだろう。 ところが、父はそれほどでもなかったらしい。 子供の頃の父は、恐竜やスポーツカー、飛行機の方が好きだった。 それでも父は、プラレールで一緒に遊んでくれた。 自分の趣味や好みを、息子に無理強いすることはなかった。 ぼくのお気に入りは、在来線だった。 新幹線よりも、断然山手線が好きだった。 大人になったら山手線の運転手になりたいと思っていた。 学者だった父は、それを知って少しがっかりしたと、(のち)にこっそり打ち明けた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加