Episode2 襲来

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「それピアスホールだろ?この学校だと、なかなか開けてる奴、見かけないからさ」 (へっ……?そっち??)  長い指が、僕の左耳を指差した。 「俺も両サイ一つずつ。やっぱ開けたくなってくるよな〜。えっと……名前」  本当に僕のことを知らないのか、佐々は気不味そうに微笑んだ。  簡単に口元を覆い尽くす大きな手。 (羨ましいな)  すぐにそこから目を背け、 『柳瀬(やなせ) (あき)』  と、手元で見せた。 「なぁ、柳瀬。柳瀬が良かったらさ。これからファミレス行かね?スマホも置いて打った方がお前もラクだろ?」 「!」  驚いた。  そんなこと、これまで一度も言われたことはない。 (なんだこれ)  全身から妙な汗が滲む。心做しか、身体も熱い。  コクコクと、動揺して二回頷いてしまったけど、どうだっていい。 「やったぜ。気の合いそうな友だち。一人ゲット」  ガッツポーズを脇でした佐々の手が、ゆっくりこちらへと近付いてくる。  ぽんっと頭上から熱が伝わる。 「仲良くしようぜ」  目線を僕の位置まで下げてはにかまれ、心臓の辺りへ、何かがグッと押し寄せた。 (胸焼けかな??)  経験したことない鼓動の速さに、頷き返すというより、それを押し込むみたいにして、首を引っ込めた。
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