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「とー、なたんど!(さあ、出来たぞ)」
ばあちゃんと二人が、ゴーヤチャンプルーを運んできた。
「ちょっと、めっちゃいい匂い」
健が口を開いた。
「おー、ゴーヤ、旨そう!」
確かにゴーヤの苦みは、夏のお昼にぴったりだ。
「いただきまーす!」
みんなで手をあわせ、待ちきれないとばかりに箸をつける。
「うっ、旨い!」
この家にこんな若者が4人も集まったのって、久しぶりなんじゃないかな。
「ねえ、おばあちゃんの言葉、分かった?」
台所でどんな会話になってたのか、ちょっと聞いてみた。
「う~ん、雰囲気よ、雰囲気。大事なのは笑顔とここ」
里沙さんが胸のあたりを指さし、「ハート」だと言う。
「ちゅらさるう嬢さんめちゃ-やんやー」
「なんて?」
隣にいた翔子さんが小さな声で聞いて来た。
「綺麗なお嬢さんたちだなぁって」
すると里沙さんが、大きな声で、
「いや~、おばあちゃん、ありがとうございます。後で肩揉んであげるね」
と言った。
「肩揉んでくれるって」
「うりぐれー わかてぅとぅいん(それぐらいわかるわ)!」
「あ、ばあちゃんに通訳はいらんかった」
笑いながら食べる昼ごはんって、凄く美味しい。思えば、東京での食事は一人が多い。ご飯自体、あんまり楽しいものだと思ったこともない。
それにしても、ついこないだまで知らなかった者同士が、こんなに楽しくご飯を食べられるなんて。しかもうちのばあちゃんを囲んで昼飯食べてるとか、嘘みたい……。
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