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 久々のシュノーケル。何年振りだろう。  軽く海の中を覗いてみると、鮮やかな珊瑚の周りでこれまた鮮やかな魚たちが泳いでいる。 (熱帯魚ってどうしてこんなに優雅に進化したんだろう)  シュノーケルを空に突き立て海の世界を覗いていると、世の中の余計なことなど忘れてしまう。 (何がどう組み合わさったら、こんな美しい世界が出来上がるのか)  時間を忘れてしまいそうになる。 (あっ、彼女たち、大丈夫かな?)  そう思って顔を上げると、里沙さんは結構豪快に動き回っている。 (ブッ、ここをプールと間違えてるよ)  綺麗なのに、何故だか笑える人。  憎めないキャラ。   (きっと、友だち多いだろうな、あの人)  翔子さんを探すと……、静かにシュノーケリングの最中。  普通はこうだ。  二人の位置を常に確認しながら、暫くぼくも海の上で浮いていた。  1時間ほど経った頃、嫌な予報が当たった。  徐々に曇りがちとなり、風が出てきた。 「ねぇ! なんか、天気悪くなってきたねー」  里沙さんがこっちを向いて叫んだ。 「ですねー」    外洋の向こうの方にどす黒い雲が見える。あれは明らかに雨を降らせてる。 (まずいな……)  そう思ったぼくは二人に声をかけた。 「ちょっと上がりましょうか!」  砂浜に上がり、ぼくは無線のコールを鳴らす。 「おー、渚か。ちょっと天気がやばいな。やばいんだけど、もっとやばいことにボートが調子悪いんだ。これからジェットで一人ずつ連れて帰るから、海から上がって待っててくれ」 「了解」  ぼくは海から上がって来た二人に言った。 「これから迎えに来るって。ただ、ボートの調子が悪いんでジェットで一人ずつ運ぶって言ってます」 「そう」 「なんか、急に波が高くなってきたわね……」 「山の天気は変わりやすい」と言うけれど、海も「さっきまであんなに穏やかだったのに」ということはよくある。特に風が出るとやばい。  波はみるみる荒れてきた。 (まずい……)  これじゃぁ、3往復してる間にどんどん状況が悪くなる。
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