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「ねぇ、二人は年、いくつ?」  翔子さんが聞いた。 「おれは21。渚は?」 「17です」 「あっ、セブンティーン。いいな、戻りたい…」  里沙さんが言う。 「二人は?」  健が聞いた。 「私は19。里沙は大台に乗っちゃった」 「黙れ」 「大学生?」 「そう、2年生」 「大学生って、大人っぽいんですね。最初OLさんかと思いましたよ」  そう言うと、翔子さんが、 「それって褒め言葉だよね?」 と言うから、 「えっ、もちろんですよ!」 と答える。  でも、ほんとにもっと上かと思った。    夜は更ける。  お酒も進んだせいか、みんなだんだん声がでかくなってきた(もっとも健と里沙さんは昼間もでかいが)。 「ごめん。渚くんに一つ謝っとくわ」  里沙さんが、座った目で急に告白を始めた。 「私ね、渚くんに出身横浜って言っちゃったんだけど、実は北千住なんだ」 「ぷっ」 と翔子さんが噴き出す。 「ごめん、横浜は翔子だけ。嘘ついたことに耐えられなくなった」  悪戯っぽい顔で舌を出す。  でも、健はちょっとつまんなそうな顔をした。 「出身がどこかなんて、どうでもいいじゃないですか」  ちょっと健に気を遣う。  結局、4時間くらいワイワイ騒いでお開きになった。  健は里沙さんと携帯出して何やら交換してる。 「じゃ、ホテルまで送って行くから」  健がそう言った。  おばあちゃんちとホテルは反対方向。 「おやすみ、渚くん!」 「はい、おやすみなさい」  手を振って三人に別れを告げる。 (ああ、面白かった。それに、いろいろ勉強になったし……)  家に向かって一人で歩く。 (……)  夜道にビーチサンダルの乾いた音だけが響いてる。 (……この後、大人だけの2次会とかあったりして……)  何やら想像してしまいそうになる。  沖縄の夜は長い。
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