98人が本棚に入れています
本棚に追加
4
スバル珈琲に入ると奥の方にあの人はいた。
近づくと『来てくれると思ってたよ。』と微笑んだ。
そう、僕は誘いにのってしまったのだ。
名刺に僕も知ってる企業の部長とあったこと。
悪い人じゃなさそうなこと。
そして何より好奇心が最優先だった。
裕子先輩と美紀にも真相を教えたいと思った。
『どうして来ると思ったんですか。
住所は教えられないですよ。
来なかったらどうしてたんですか?』
『はは。わかってるよ。
これでもサラリーマンだから個人情報の取り扱いくらいはね。
ダメ元で学生課に行ったんだ。
そりゃ閉店まで待って来なかったら諦めて、もう学生課にも行かないつもりだった。
あそこで頼んでも断り続けられるのが目に見えてるし。
変に長引かせると不審者っぽいしさ。
でも…何となく来てくれる気がしてた。
色んな人と仕事をしてきて、これでも人を見る目はあるんだ。』
見透かされて悔しいやら、僕を選んでくれて何となく嬉しいやら、複雑だ。
『無理を承知でお願いしたいんだ。
この手紙をさっき登録されていた住所に送って欲しい。
もちろんお礼は支払う。
何かあったらすべて僕が責任を持つ。
頼まれてくれないか。』
そういって頭を下げた。
ええ…。
断らなければいけない話なのに、やっぱり気になってしまう。
『なんでそんなに連絡を取りたいんですか?』
とりあえず理由を聞かなければ。
岡村さんというその人はゆっくり話し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!