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次の日の金曜日、居酒屋で飲みながら美紀に昨日の事を話した。
『引き受けたのね…。
佑樹がクビにならないか、罪に問われないか心配だけど、引き受けたくなる気持ちもわかる。
それでどうするの?
佑樹が説明文をつけて郵送するの?』
『そこだよね。
うまく伝わるように書ける気がしない…。
普通郵便だとちゃんと受け取ってくれたかわからないし、書留を使うと事が大きくなる気がする。
岡村さんには必ずお届けできる保証はないと言っておいたけど。
謝礼も断った。
そんなことの為にやるんじゃないし。』
『…裕子先輩に引き受けたこと話したの?』
『裕子先輩には言ったよ。
何かできることがあれば言ってね、とは言ってもらった。
でも巻き込むわけにはいかないしね。』
少し黙って料理を食べ進めた後、美紀から口を開いた。
『じゃあさ、明日一緒に届けに行こうよ。
今日住所は書いてきたんでしょ?
…横浜なら全然遠くない。
夕方なら誰かしらいるんじゃないかな?
ご本人は結婚していないかもしれないけど。
もうご家族もそこに住んでないかもしれないけど。
そのあたりの事情もわかるし、会って説明した方が誠意は伝わりやすいし、受け取ってもらえなかったら岡村さんに返せば、すっきり終われるよね?』
家まで届けるなんて考えてもいなかった。
だけど言われてみると届けるのが一番いいような気がしてきた。
提案を受け入れ、一緒に行ってもらうことにした。
次の日。
横浜への家までは電車とバスを乗り継いで行った。
大きな規模の団地。
同じ建物ばかりで圧倒されるが、部屋番号を辿ればいいので、一軒家よりわかりやすかった。
午後4時45分。
女性もいた方がいいんじゃない?という美紀を何があるかわからないからと制して、僕1人で建物の3階に向かった。
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