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『大丈夫だった!?』 少し離れた公園で待っていた美紀が駆け寄ってきた。 僕は緊張で額も体も汗だくだった。 『大丈夫だったよ! 最初お母さんらしき人が出て来て、耳が遠いのか説明が伝わらなかった。 そのうち怒りだして、追い返されそうになった。 気が付いたお姉さんが奥から来てくれて、話しを聞いてくれた。 そして少し考えてから、妹はここにはいないから、手紙を受け取っていいか確認するって、その場で電話でご本人に聞いてくれた。 そして受け取ってくれた。』 ここまで興奮して一気にしゃべった。 いつの間にか美紀が手を握ってくれていた。 しゃべったら、落ち着いてきた。 『お姉さんも妹さんが大学時代に付き合ってた人の名前を思い出したみたいで特に怪しまれなかった。 僕は大学の職員だと言ったけれど、個人名は聞かれなかった。 月曜日、裕子先輩にも報告しなきゃ。』 『…よかったね。 …じゃあ帰ろうか。』 と言った美紀に手を引かれて歩き出した。 帰り道、乗り換えた最後の電車でお互いしゃべらなくなった。 僕も疲れていたけれど、まだ興奮してたのか眠くはならず、2人とも前を向いて黙って座っていた。 しばらくしたら、前を向いたまま美紀が話し出した。 『あのさ、佑樹は高校生の時も彼女いたよね。 今、裕子先輩のことも気になってるよね? 佑樹が岡村さんくらいの年齢になった時、誰を思い出して探すの?』 ボンヤリしてたところを急に話しかけられて、内容が理解できない。 美紀の方を見ると泣き出しそうな横顔だ。 『今回のこと、大学にバレたら大変なことだから、絶対に秘密で知ってるのは私だけだと思ってた。 でも私より真っ先に裕子先輩に相談したんだよね。』 声が震え始める。 『じゃあ私、いらないじゃない。』 そこまで言うと閉まりかけた電車のドアをすり抜けて降りていった。 まだ美紀の降りる駅じゃない。 突然のことでわけがわからない。 僕は座ったまま呆然としてしまった。
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