僕の過ち

9

僕と美紀はアルバイト先で知り合った。
チェーン店のカフェ。
お互い大学1年生になりたてで同じ時期に採用されて研修も同じで…仲良くなるのは必然だった。
そこから付き合いはじめて、違う大学ながら楽しく過ごした。
そして今年、彼女は普通の会社に就職し、僕は学内の募集に応募して学生課に就職した。

美紀は僕が初めての彼氏だと言っていた。
僕は高校生の時に彼女はいたけれど、友達に無理矢理くっつけられたようなもんで、3ヶ月くらいでお別れした。
僕も美紀が初めての彼女のようなものだ。

今まで大きな喧嘩もすることなく穏やかに付き合ってきた。

今日だって美紀から一緒に行ってくれるって言ったのに。

なんで裕子先輩が出てくるんだよ。
浮気なんかしていない。
裕子先輩以外はみんなかなり年上だから、話しやすいだけだ。

…確かに裕子先輩は僕に気があるのかな？って思う時はあった。
でも何も言われてないし、黙っているのは嫌だから美紀にもちゃんと話したじゃないか。

自分だって仲の良い男性の同僚くらいいるだろう？
…この思いつきは少しモヤッとした。

ああ、くそっ。

そんなことを細切れに考えていたら、降りる駅に着いた。

美紀からの連絡は無い。
違う駅で降りて、あの後どうしたんだろう？

泣き出しそうな横顔がよぎったけど、やはり一方的に怒られた気がして腹立たしくて、連絡せずに家に帰った。