3人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだったのか………」
俺は、謎の答えに対し、なんとも言えない気持ちが表れていた。
祐希の証言によると、龍一はどうやら引っ越すらしい。
なので、最後に会いたかったから、という理由で話してきたそうだ。
龍一の母がそのようなことを言ってこなかったのは、おそらく本人の口から
言ってほしかったからなのだろう。
龍一が彼の家に帰らなかったのは、単純に祐希の家から直接学校に行っただけだった。祐希がそう証言している。
「これからもよろしく」というメッセージには、引っ越しても、俺たちの友情
が終わるわけではない、もう会えないわけではない、ということを伝えたかっ
たのだろう。
そう思うと、やはり込み上げてくる感情、というものがある。
気づくとそれは、目から溢れてきて、思わず手で覆ってしまう。
そんなことをしても仕方のないことだと分かっていても、どうしても抑えられ
ない。
今日はもう、家に帰ろう。
多分、家にいたらそのうち、龍一が来てくれるはずだ。
最後の最後に、お別れの挨拶をしてくれるはずだ。
そう思い、俺は家路に就いた。
最初のコメントを投稿しよう!