02「立ち回り」

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02「立ち回り」

 少し戻り、入店して間もなくの頃。  キャバは無事に絆の島中あたりの台を確保し、仲間たちにグループ通話で状況も報告し終えると、何やら騒がしい背後に目を向けた。  すると、すぐに物騒な声が通路に響いてきた。 「邪魔なんだよジジイ、ぶっ殺すぞ!」 「あ、あの、私が先に座ったのですが……」 「俺が先に台確保券をココに差したわけ。だから、この台は俺の台。分かる?」 「いえ、だから私がそれを差そうとしたのをあなたが邪魔して……」 「は~? 言いがかり付けてんじゃねえぞジジイ!」 「言いがかりはあなたの方が……」 「うぜえんだよ、どけよオラァ!」  怒声と共に、パチスロよりはパチンコのフロアにいるのが似つかわしいような老人がど突かれて島中から通路に弾き出された。  老人は眼鏡を飛ばされて転倒し、床に尻もちをついたまま身体を震わせていた。  その横を邪魔そうに他の入場客が素通りしていく。誰も気遣うことはなく、店員すら客同士の細かいトラブルに進んで関与しようとせず無視を決め込んでいる。
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