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「ドヤ街でボスに紹介してもらった仕事だったんだけど……怒られる……給料も出ないしもう紹介してもらえなくなる……」
「だよね~。きっと親がドヤ街にコネあって仕事発注してるんでしょ」
キャバは考えた。おそらくこの老人が今日の仕事でもらえる金は、この場で何のためらいも無く自分の財布から出せる金額に違いない。
だけど、それは違う。
キャバは普段の仕事でも見せないとびっきりの笑顔で老人に話しかけた。
「ねっ、アタシ気分代わって今の台やめるんだけど打つ?」
朝イチのAタイプ島は、他のAT・ART島とは空気が違う。
簡単に言えば、ガチ勢が多い。満台になることはまずないが、ジャグ系でもアクロスやハナハナ系でも、Aタイプに座る人間は眼光が違う。
冷めた目でやる気なさそうに小役カウンターを台に置いて気怠そうに打ち始めるが、その観察眼は鋭い。島中を通ろうとすると打ち手が振り向いて確認することがよくあるが、Aタイプ島は特にそれが多い。彼らはどの台が出ているか以上に、誰が打っているか、もしくは打つのをやめたかを気にしているのだ。
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