愛してる

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愛してる

「すごい綺麗」 思わず見惚れてしまう。 星はどの角度から見ても光り輝いてる。 わたしは一見輝いているように見えるけど心は闇に染められているの。 だけど、あなたといると心の闇が薄れていくの。 ありがとう。 宙人の横顔は星のように輝いていた。 私が手を差し伸べると宙人は一瞬間を置き わたしの手を取った。 宙人の手、こんなに大きかったんだ。 胸が高鳴る。 踊りながら感じる。 わたしにもう時間がないと。 宙人は悲しそうな笑みを浮かべている。 そんな顔しないで。 「楽しいね、宙人」 うまく笑えてるかな。 「うん」 わたしたちは踊り続けた。 宙人を見て笑うと彼は微笑みを返した。 あぁ、その笑顔が好き。 君と生きていたい。 けれど、この願いはきっと届かない。 空を見上げると沢山の星が降り注いでいた。 わたしが死んでも宙人が幸せでありますように。 そう願って気づいた。 わたし、宙人のこと、いつの間にか好きに なってたみたい。 でも、わたしはもうすぐ死ぬ。結ばれることはない。 その事実に胸がキュッと締め付けられた。 涙を流してしまわないように上を見る。 「綺麗だね」 わたしは降ってくる星をうっとりと見つめた。 でも、時間がない。 「踊ろう!星の雨が止んでしまう前に」 わたしは宙人に手を伸ばす。 「あぁ。君の頼みなら何百回でも」 彼はにっこり笑う。 わたしも笑い返すけど、 突然痛みを感じ、声を漏らして血を吐いた。 いつもの発作だ。 だけど今回の発作はいつもより苦しい。 「きらり!!」 宙人が地面に倒れそうになる私を抱き止める。 「宙人……わたし、もうダメみたい」 ありがとう。 わたしに人を信じることの良さを伝えてくれて。 泣かないで、宙人。 「そんなこと言うな!」 わたしね、これだけは言いたい。 これは絶対嘘じゃないよ。 「宙人……愛してる」 段々と意識が薄れていく中で 宙人の泣き声が聞こえた。 最期に見たのは星の雨が降っている光景だった。
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