『六花の恋1』side晃

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『六花の恋1』side晃

さゆと付き合い始めて、初めてのデートの日。 少しでもふつーの恋人っぽいことを、と考えて外で待ち合わせをしようと思ったのだけど……だめだ。こんな可愛いさゆを一人で歩かせられない。 部屋で一人で服を選んでいたらしいさゆは、いつにも増して愛らしくて。 結局、手を繋いで一緒に家を出ることになった。 ――さゆが俺を好きになってくれたのは、奇跡としか言いようがない。 旭のこともあって一層告白する気をなくしていた俺に、その気持ちを素直に口にさせてしまうのだから。 ……さゆほど、俺の本音を引き出せる人はいないだろう。 今までも、この先も。 だからさゆには、嘘は通用しないと心得ている。 いや、俺がさゆに嘘をつきたくないんだ。 さゆが純粋だから、少しでも近い存在でいたくて。 ほかの誰よりも、俺が、さゆに相応しくいたいから。
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