ライブって凄い!

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ライブって凄い!

風邪で寝込んだ親友千春からの 『心からのお願い』 に拝み倒された唯。 仕方なくボーイズグループ 『RAIN』のライブが 開催されるライブハウス前にやって来た。 ライブハウス前には、沢山の人だかりが 出来ており、人々を整理するスタッフが 忙しそうに走り回っていた。 唯は順番待ちで整列している人々の 一番後ろに並ぶ。 少しづつ前に進んでいく人々。 そして、ついに唯はライブハウスの中に 入った。 「うわぁ~凄い……」 思わず目を大きく開きそう呟いた唯、 通路には、『RAIN』のポスターが 至る所に貼ってあった。 ボスターにはスポットライトが 当たり、メンバー各自がキラキラ していた。 その前で写メを撮る人々。 ライブ会場入り口付近には グッツ販売のブースがあり、 ここにも沢山の人々が並んでいた。 唯は、ポケットからスマホを取り出し 千春から頼まれたグッズを確認すると、 「よし! いくぞ」 と頼まれたものを買うために 沢山の人の波にのまれていった。 無事、千春からの指示通りにグッズを 購入した唯。 「グッズを購入しただけなのに、  疲れた……」と疲労困憊の唯。 会場の中に入ると、人々の視線を受けつつ 一番最前列の……ど真ん中に座る。 ヒソヒソと聞こえる周りの声、 明らかに自分に向けてだと ヒシヒシと肌で感じる唯。 「あ~やっぱり、場違いだよ」 と千春からの頼みを受けた自分に後悔した。 薄暗い会場が更に暗くなった。 急に周りがザワザワしだす。 ライブ経験が少ない唯であるが、 間もなくライブが始まることは 十分に理解出来た。 会場が真っ暗になった。 「キャー」っと後ろから声が聞こえて来た。 数秒後、 大音量の音楽が流れ始め、 真っ暗闇がいきなり、 光輝く世界に一転した。 眩いスポットライトの光が、 ステージに当たる。 物凄い光の中に五人の人影が見えた。 「キャー」っという歓声は、 唯の後ろから、波打つように 黄色い歓声が何回も繰り返し 押し寄せてきた。 唯は、背後から襲って来るどよめきと 歓声を聞きながら、全身に鳥肌が立つのが わかった。 目の前を見ると、ステージと観客席 が近すぎるため、手を伸ばせば 触れられそうな距離。 「すごい……」と驚きと感激で固まる唯 ステージでは、五人のメンバーが ダンスを踊り、歌い、トークが披露される。 彼等が、動くたびに黄色い歓声があがる。 ライブが進むにつれて、会場内は 『RAIN』とファンが一体感になっていくのがわかる唯。 ステージ上にいる五人はキラキラして、 それを見ている唯の周りにいるファンの 人達の目も輝いていた。 唯が後ろを見ると、色とりどりのペンライト の光が暗闇に揺れているのが見えた。 「物凄く綺麗だな」と唯は呟いた。 千春が来たかったはずだ。と心の中で そう思った唯は、ステージ上で輝く 五人の姿を目に焼き付けた。 「今日は、俺たちのライブに来てくれて  ありがとう。  これからも、俺達『RAIN』の応援  よろしくお願いします」 「きゃ~ キャ~」と声援が会場内を 埋め尽く。 アンコールが終り、 「以上、『RAIN』の 心(しん)  良(りょう) 翼(つばさ)  悠(ゆう)そして、友(とも)でした  今日は本当にありがとう  ございました」と『RAIN』の  メンバーが深々と頭をさげ、  顔を上げた瞬間に、両サイドから  キラキラのクラッカーが鳴らされた。  両手を挙げたメンバー五人はステージの  下手に歩いて行き大盛況の中、  ライブハウスのイベントは終了した。 唯は感動と疲労でしばらくの間、 その場から動くことは出来なかった。 観客もまばらになり、唯は荷物を持つと 「さてと、帰りましょうかね」 と言いライブハウスを後にした。
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