現実に戻る……キヌコさん

1/1
前へ
/53ページ
次へ

現実に戻る……キヌコさん

数ケ月前に、『RAIN』のライブに千春から 頼まれ行っていたことを、 そして、目の前にいる『RAINの悠』 と話をしたことを思い出した 『キヌコさん』こと唯。 ここは、東田こと『RAIN』 悠の自宅マンション、 唯が、名前を『キヌコ』と語り、 六十三歳として変装し働いていたことが ひょんなことで、契約者の悠にバレて しまった今、この状況と、 数ケ月前のあの時の記憶が蘇り、 ドギマギする唯。 悠が唯に話しかける。 「キヌコさん?」 「はい。何でしょうか?」 「俺、これからライブだから、  作りかけの食事、宜しくね」 と言うと、悠は玄関のドアを開け 出て行った。 「はぁ~息が詰まりそうだった」 と安堵する唯。 「悠さん? 東田さん? まあどちらでも  いいけど……数ヶ月前のライブの日の  こと覚えてないようだから、よかった~」 と言うと唯は作りかけの食事を 作り終え、『連絡ノート』に記入をして 悠の部屋を後にした。 夜遅く帰宅した悠、 食事を食べながら、連絡ノートを 開くとクスッと笑った。 ノートには、ライブお疲れ様でした。 今日もキラキラしておられたのでしょうね。 キヌコ 「こんなこと書くと、俺(契約者)と  顔合わせたことがバレるのにな……」 と悠が言った。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

116人が本棚に入れています
本棚に追加