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現実に戻る……キヌコさん
数ケ月前に、『RAIN』のライブに千春から
頼まれ行っていたことを、
そして、目の前にいる『RAINの悠』
と話をしたことを思い出した
『キヌコさん』こと唯。
ここは、東田こと『RAIN』
悠の自宅マンション、
唯が、名前を『キヌコ』と語り、
六十三歳として変装し働いていたことが
ひょんなことで、契約者の悠にバレて
しまった今、この状況と、
数ケ月前のあの時の記憶が蘇り、
ドギマギする唯。
悠が唯に話しかける。
「キヌコさん?」
「はい。何でしょうか?」
「俺、これからライブだから、
作りかけの食事、宜しくね」
と言うと、悠は玄関のドアを開け
出て行った。
「はぁ~息が詰まりそうだった」
と安堵する唯。
「悠さん? 東田さん? まあどちらでも
いいけど……数ヶ月前のライブの日の
こと覚えてないようだから、よかった~」
と言うと唯は作りかけの食事を
作り終え、『連絡ノート』に記入をして
悠の部屋を後にした。
夜遅く帰宅した悠、
食事を食べながら、連絡ノートを
開くとクスッと笑った。
ノートには、ライブお疲れ様でした。
今日もキラキラしておられたのでしょうね。
キヌコ
「こんなこと書くと、俺(契約者)と
顔合わせたことがバレるのにな……」
と悠が言った。
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