5.ストリッパーの娘、幼稚園へ行く。

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5.ストリッパーの娘、幼稚園へ行く。

✼••┈┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈┈••✼ 今は地味なアラフォー主婦🍳 𓈒𓂂𓏸 母はストリッパー、父は男優。 そんな昔の話✍️ ✼••┈┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈┈••✼ ストリップ劇場の巡業と、家との生活を送っていた子供の私。 当然、幼稚園や保育園には通っていなかったのだけれど、年長さんから幼稚園に通う事になった。 最初は初めての幼稚園生活が楽しかった。 クラスのお友達もたくさん話しかけてくれた。 だが、気付いてしまった。 私が”物珍しくて”話かけてくれている事に。 派手なファッションやメイクの母。 その娘の私は長い髪にパーマを当てていた。 それに幼稚園は年少さん(3歳)から通えるので、年長さんから通うのは私しかいなかった。 「今までどこの幼稚園にいたの?」 「この遊び知ってる?」 「どんな遊びが好き?」 私もクラスメイトもお互いに、未知との遭遇だ。 子供同士で流行ってる遊びなんて知るはずもない私には、まるで宇宙人との会話だった。 それでも、最初はチヤホヤされて嬉しかったので、幼稚園から帰ってからは父や母に幼稚園の話をした。 「私は子供の世界に馴染めたのだ」 とでも言うように、自信満々に話すのだった。 母は派手ではあったがコミュニケーション能力が高かったので、すぐに”ママ友”と呼べる存在ができたようだった。 「お友達があなたのことお姫様みたいだって。 パーマかけて良かったわ」 と鼻が高いようだった。 髪の多い私がパーマをかけると髪は絡んでばかりで、お風呂の度に泣いた。 長い髪も、パーマも、私はちっとも好きにはなれなかった。 それでも、辟易する事も多かった。 「みんなー!園庭で遊ぶよー!」 と担任の掛け声で、みんな一斉に飛び出していく。 肩がぶつかろうが、足を踏まれようが、自主申告しなければ謝ってももらえない。 ”他人に触る”という事に抵抗がない子供が多くて、「触らないで」という言葉を飲みこむばかりだった。 それに子供という生き物は、すぐに甲高い声を出したり叫んだりする。 うるさくて眩暈がした。 給食センターで作られるお弁当はちっとも美味しくないし、私からするとトイレは臭くて汚かった。 お人形や塗り絵で遊んでいても、すぐに飽きてどこかへ行ってしまう子もいた。 子供の考える事など、ちっともわからなかった。 それに加えて、多くの子供たちは体を動かすことが好きらしかった。 私は砂で汚れるのも嫌だったし、体の動かし方も知らなかった。 体操授業がも、外遊びも苦痛で仕方なかった。 そんな感情を、やっぱり大人には言えなかった。 ”幼稚園でも上手くやれている”自分でありたかった。 本当は同い年なのに子供の事が嫌いだったし、そんな幼稚園にはウンザリしていたのだけれど。 そして私が幼稚園に通うようになり、ストリップ劇場への巡業は、留守番をすることになった。 食事は祖父母が用意してくれるらしかった。 でも、ストリップ劇場の公演周期は10日間だ。 10日間。 それは子供の私にとって、果てしなく長い時間に感じた。 つづく
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