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138:心は女子中学生なんで
「そ、そりゃあ観たくないといったら嘘になるけど……そもそもホラー映画自体俺は観れないし、京介が映画に出たりしたら今より忙しくなってますます会えなくなってしまうだろ……!」
「礼二郎……」
京介は礼二郎に求められているという事実に心から感動したあと、バレないようにテーブルの下で礼二郎の手をそっと握った。しかし動作で全員にバレバレだった。
「ただでさえ学部が違うから、大学ではそんなに会えないのにな……」
「そうだよね……」
「「「(そうか???)」」」
三上・戸田・姫子は揃って首を傾げた。なんかこの二人はいつも一緒にいるような感じなので。
しかし、そんな二人――というか礼二郎を見かねたのか、母が言った。
「礼君、今からそんな重くしていたらそのうち京介君の方が疲れて離れていくわよ……ほどほどにしておきなさい、女は常に追いかけられる側にならなきゃダメなのよ……」
「ええ!? 俺は男だから別に追いかけてもいいだろ!?」
「役割ってものがあるでしょうが……」
「うっ」
母はどこまで分かってて言っているのだろうか。礼二郎を除く全員が思ったが、そんなことは誰も聞けない。
というか、そういう話は親子だけでやってほしいのだが、やはり誰も何も言えないのだった。
「でも俺、ホントは京介と24時間一緒に居たいのに……!」
「礼君、貴方19歳の男なんだから初めて彼氏が出来た女子中学生みたいなことを言うのはおやめなさい……」
「ぶふうっ!」
姫子が耐えきれずに噴き出した。
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