ストーカー

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ストーカー

 佐野は言った。「僕はこの事件を亡くなった署長と捜査していたんです。でも署長は僕を守ろうとしていたのか?僕を事件から遠ざけようとしていた。僕を守るために山本を殺し、僕を守る為に捜査を撹乱させていた。でも僕は署長と一緒に調べていたんです。  署長はクリスマスの時、施設にプレゼントを持って行くボランティアをしていてそのプレゼントは全て自分のお金で買っていたんです。   そしてその施設で子供達の面倒を見ていたスタッフの一人が泉さんなんです。  そこで署長と泉さんは出会ったんですよ。  そして二人は恋に落ち結婚の約束をしていた。    泉さんはストーカーに悩んでいて署長に相談したんです。相談していた履歴が残っています。  先輩は自分と結婚しなければ署長を殺すと脅したんですね?  その脅しで泉さんは黒田先輩と結婚した。 でもいつも署長と泉さんは深夜こっそり会っていたそうですよね?黒田先輩!そしてあなたに耐えられなくなった泉さんは家を出て署長がお金を渡した劇団員に頼み妻の振りをしてもらった。そして、劇団員は黒田先輩の家に居着いたって事ですよね?   家を出た泉さんは職場も変えてひっそりと小さなアパートで暮らしていた。  ところが僕の父親がもう一人のストーカー胡桃沢に泉さんの居所を教えた。  そして自分のものにしたかった胡桃沢は自分のものにならないのなら〜と署長が泉さんを守る為に作った家族の為の学校で泉さんを殺害し、全て署長がやったように見せかけた。  黒田先輩。よく思い出してくださいあなたも胡桃沢と同じストーカーなんですよ。  でも、一つ腑に落ちない事があるんです。署長は僕の父と親友だった筈、自分が死んでも僕を守るように署長が言ったと聞いていたのに。  何で?泉さんの居所をもう一人の親友胡桃沢に教えたんだろうか?」  黒田守は笑いながら言った。  「佐野君、君はいつまでも子供だね。君の父親佐野一郎は自分の出世に邪魔なものは例え親友でも排除したがる性格だよ。署長に優しい振りをして邪魔だといつも思っていたんだよ。  だから泉を胡桃沢を使って殺させたのさ。  そうすれば署長は警察内の試験を受けられないほど神経を病むと思ったのさ。  あいつは親友であろうが何だろうが自分の出世の為なら人を使う奴だよ。佐野一郎は誰かが泉の居所を教えたそう署長に言ったんだろうね」 佐野元春は父親の裏の顔を知って呆然としていた。  佐野は後輩に「後は頼む」そう言って斎藤刑事の取り調べ室に向かった。
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