二人だけの空間

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 6月1日――。  今日も大地は生徒会の仕事で、朝早くから投稿をしていた。迫る総会に向けた準備があることが、忙しい原因の1つである。 「雨か」  夜中から続く激しい雨は、太陽の日差しを遮るように今も続いている。窓の外を眺めたりしながら、授業という退屈な時間を過ごしていた大地は、昼休みになると詩織のいるであろう隣のクラスに行ってみる。 「ん?いないな」 『どうしたの?』 「あぁ、詩織がいないなと思って」  大地が教室の入り口でキョロキョロしていると、知り合いの女子生徒が話しかけてきた。詩織について彼女に聞いてみたところ、 「今日、風邪で休みみたいだよ?」  という予想外の返答が帰ってきた。 「風邪?大丈夫なのか?」  自分の机に戻った大地は、トークアプリを起動すると、詩織に向けてメッセージを飛ばした。  “風邪らしいけど大丈夫か?”  既読はすぐには付かなかった。ただ待っていても時間は止まってくれないため、大地はお昼を一人で食べたのだった。返信はしばらくして、午後の授業が始まった後に返ってくるのだった。
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