気づかれないように

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気づかれないように

 また来たる月曜日――。  生徒会の仕事は落ち着いて、詩織と大地は二人並んでの登校だ。いつものようにお昼は一緒に過ごして、一緒に下校する。そんないつもの日々が二人に戻ってきたのであった。   「詩織?」  そして金曜日。  夕日染まる校舎の壁と、窓から溢れる日差しの暖かさの中で、放課後を迎えた教室の雰囲気は静かであった。誰もいない教室。詩織を探して大地は教室へと向かうのだが、彼女の姿はなかった。   「何処行った?先に帰ったとかなのか?」  ふと、教室の中に入る。詩織が帰っているなら荷物はないはずと思って大地は彼女の机に近づいた。 「荷物はない……けど、なんだこれ?」  荷物はなさそうであったが、彼女の席に置かれた椅子の上には、大きめの手帳のような物が置かれていた。
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