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「考えることは一緒だね」
3人とも着てる服は、お揃いで買ってもらったセットアップのTシャツとショートパンツだった。
3人で待ち合わせたのは、近所で一番近く、一番眺めのいい河川敷だった。
「ランドセルはいらない気がするけど」
「もうランドセルもこれで終わりでしょ?」
お互いに飛び跳ねながら、ランドセルの存在を確かめ合う。
「でも、何で服にしたんだっけ」
「私が、言ったんだよ」
葵が夕陽を眺めながら言った。
「キーホルダーだと壊れたり、なくしたりしちゃうでしょ?なくさなくても色んなこと思い出しちゃうかもしれない。だけど洋服なら、なくすことはないだろうし自然に着れなくなる。思い出はあまりできないかもだけど、それも自然と忘れることが出来る」
葵の言葉が胸に刺さる。
「葵?」
「だからその一瞬が素敵に思えるし、大切に思えるんじゃないかなって」
ふと我に返ったように、笑いながら慌てて付け足す。
「全部お母さんが言ってたことだけどね」
そう誤魔化し、夕陽を見据えた彼女の目は、どこかもの悲しげに見えた。
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