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「なにかあった?」
今日はそのまま放課になるまで、進展させられなかった私は、家に帰ってからも色々と考えていると、ご飯を作っていた母に聞かれた。
「え?なんで?」
「顔に出てるわよ」
わかりやすいのよね、とつけていたエプロンを外しながら、母は椅子に座った。
「もしかして、葵ちゃんのこと?」
「え?どうして?」
「お母さん同士って、そういう話好きなのよ」
と笑う。
「まぁ、本人から聞いたんだけどね」
どうやら、葵のお母さんから聞いていたみたいだ。
「で?何に困ってるの?」
私は大まかに話した。"未来の話"以外を。
「なるほどね」
うーん、と飲み物を一口飲むと、私ならだけど、と前置きしてから、
「私なら、ちゃんと伝えるかな」
と言った。
「どうして?」
「嘘つけないから、私」
母はニコッと微笑む。私の性格はどうやら、母に似てしまっているらしい。
「言えない気持ちも分かる。けど誤魔化したまま別れたら、卒業してから会いづらくなると思う」
その後、真面目な顔に戻ると、しみじみと、自分の何かと重ねている様子だった。
確かに、柚希からしたら、裏切られた、って思うのかもしれない。正しい表現か分からないけど。依頼してきたのも、当時そういう思いがあったからなのかもしれない。
明日話してみよう、上手く伝わるか分からないけど。
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