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翌日の休み時間、私と柚希は葵に空き教室に呼び出されていた。これは、母に相談し、葵に伝えた作戦だった。
作戦といっても、ただ葵が私たちに卒業したら引っ越さなければいけない、と話すだけだ。2人きりで話すのが難しいなら、私が一緒にいればいいという安直な発想。
私は、初めて知った風なリアクションを取ればいい。って、小学生がそんなこと自然にできるのものだろうか。
「ごめんね、話したいことがあるの」
明らかに緊張していた。まぁ、仕方ないよね。同じ立場なら私だって緊張する。てか今も緊張してる。
「私、卒業したら引っ越さなきゃ行けないんだ。だから、別の中学に行くの」
ごめんね、と頭を下げる葵。
よく言ったよ、と心の中で励ます。
「え、そうなの?びっくり!」
こういう時の自然な反応って、どう言う感じなんだろう。正直自分でもわざとらしい気がしてしまうが。
「嘘だよね」
しかし、そんな私のを余所に、驚く程柚希の声は冷たかった。
「そうやって言って、私たちとの関係を終わらせようとしてるんでしょ」
どうやら柚希は、今後仲良くしないための口実だと思っているようだった。
「わかった。もう葵とは仲良くしないよ。今までごめんね」
「柚希!」
一方的に言い終えると、止める間もなくいなくなってしまった。
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