デート

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「私も土曜日でかけるの。晴れていたら動物園。雨だったら水族館。お土産を買ってくるね」 「いいですね。土曜日は曇りじゃなかったでしたっけ。動物園ですね」  聡美はそう言うとスマホのアルバムを閉じた。 「ええ。でも私は水族館に行きたいの。だから雨よ、降れって祈っているの」  美知はパソコンの電源を入れた。パスワードを入力するとすっきりしたデスクトップがでてきた。聡美は言った。 「池袋の現場、なかなか安全書類ができあがらないの。塚田さん、手伝ってくれる?」 「ああ、あの現場は大きいからね。出入りする下請けさんだって五十くらいあるでしょう」 「はい。一人親方さんのところもあるんだけど」  独立して一人親方になる人も多い。だいたいは年配者だ。 「私の原宿の現場が施工計画書を厳しくチェックするんでそんなに力になれないと思うけど、手伝ってあげる」 「助かります。ありがとうございます」  聡美はそう言うと斜め前の席に腰かけた。  この建築事務所は意匠部と設備部に分かれている。美知は設備部だ。ダクトや空調のドレンや冷媒。汚水管。排水管。水道管やガス管の施工をしているのが設備部だ。男性は十名いて女性は五名いる。現場にでているわけではない。現場にでるのは契約した業者だ。
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