デート

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 美知はエクセルで施工計画書を作りはじめた。原宿の物件はマンションだ。2LDKや3LDKの間取り。美知もこんな物件に住みたい。いま住んでいるのは築三十年のアパートで2Kだ。居間と寝る部屋。プライベートな時間が取れないし、冬はすきま風が寒い。  夫婦で八十まで生きるとすると引っ越しはするしかないだろう。ローンでマンションを購入してもいいが夫が三十年ローンを払い終えるのは七十五歳だ。現実的に無理だろう。  美知は夫を愛しているがこの結婚は失敗だったのではないかと思うことがある。夫は安月給だ。美知が家賃を払っているから好きなブランドのバッグも買えない。服も最近はフリマアプリだ。  夫と出会う前に付き合っていた人は年収一千万はあった。二人で海釣りに行ったり、温泉旅行をした。ディズニーランドもいったし、シティホテルでディナーをして泊まることも多々あった。比べたらかわいそうだが夫では無理だろう。  お昼になった。美知はいつもお弁当だ。簡単なものだが夫と自分の分を作っている。  スマホを取り出して土曜日の天気予報を見る。曇りだったのが雨に変わっていた。水族館に行ける。夫にメールを打って前売りチケットを買ってしまおうか。 『お仕事お疲れ様です。土曜日の天気予報を見たら雨だから水族館のチケット買おうか?』  返信はすぐ返ってきた。 『まだ早いよ。金曜日まで様子をみよう』  そうか。そう言われたら仕方がない。サンゴ礁の中で泳ぐ熱帯魚。水族館に行きたいな。雨よ、降れ。
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