デート

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「塚田さん、土曜日が雨になっていますよ」  聡美も気が付いたのか教えてくれた。 「ええ。私も確認したの。でも金曜日まで様子をみようって夫が。夫は動物園に行きたいみたい」  動物園…。パンダの他に見たい動物はいるだろうか。キリン、象。まあ、見たくないわけではない。 「旦那さん、子供みたいで可愛いですね」  そうなのだ。テレビで動物のテレビを見て笑ったり、本当に可愛いところがある。そういうときは美知も一緒になって笑って幸せだなと思う。  午後になって施工計画書がある程度できたので聡美の安全書類を手伝うことにした。建築関係の業者の他に警備会社が二つ契約している。美知は警備会社を担当すると言った。  一つめの警備会社は三十名の警備員がいた。若い人は少ない。大体が定年退職したあとの年配者だ。二級警備員は四人いた。作業員名簿で分かる。アパートで夫婦二人暮らしをしている人が多い。家を買って子供に譲ったか、そもそもずっと賃貸だったか。美知の未来が見える気がする。貯金がないから定年を過ぎても働かなくてはいけないだろう。年金だけでは都内でやっていけないだろうから。  色々考えながら仕事をやっていると上司の長野が言った。 「塚田さん、この施工計画書、ダクト配管のところが間違えているよ」  長野は男性で優しいところもあれば厳しいところもある。年齢は美知の一つ上の四十一歳。髪は染めているのか白髪が見当たらない。聡美曰くカッコいい上司らしい。 「あ、すみません。見直してやり直します」 「うん。ダクトの材料を見直して。分からなかったら質問していいから」  美知は一旦、安全書類をやめ、施工計画書に戻った。
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