第1話

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 殺風景な机、小説の内容、そしてラベンダーの置物、そこから想像すると、その人は男性で、おそらく北海道在住と思われる。 作品の中には、北海道の風景や人や街の様子がよく描かれているので、間違いないだろう。 そしてその作家のペンネームは「promessa(プロメッサ)」だった。 瑠璃子が調べたところによると、イタリア語で「約束」という意味らしい。 瑠璃子は、さっそく彼の小説の続きを読んだ。 二、三日に一回は更新されるので、毎回楽しみにしている。 その小説を読むと、幼い頃過ごした北海道の風景が目に浮かんでくる。 小説の内容は、東京から北海道へ転校してきた少女が、地元の優しい人達と触れ合い、北海道の自然の中で成長していく様子を描いたものであった。 瑠璃子は、その少女が幼い頃の自分とよく似ていて、親近感を持っていた。 彼の書く文章に触れていると、北海道の雄大さ、自然の美しさ、そして人々の温かさがそのまま伝わってくるようで惹きこまれていくから不思議だ。
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