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そろそろいいか。と男は暴力により猛った身体を治めるためにナイフを鼻歌まじりに取り出した。
「あぁ、いけない。」
目隠しを外して意識も焦点も定まらない八乙女の頬を叩く。
「ほら、ちゃんと見なさい」
のろのろと視線が動き、焦点が合う。初めてみた男の顔に一瞬不可解そうな顔をして、次に自分の身体を見下ろした。
「ぃあ! あぁぁぁぁああ、あぁ……ぁぁ」
下腹部、臍から下の皮膚と脂肪を切り取られているショックと、出血で青白くなる八乙女を見て満足そうに笑い、この瞬間のために生きてきたのだと愉悦に浸る。
美しく彩った腫れた皮膚と、出血の赤と打撲でできた青、黒のコントラストが美しい。
この世界のなによりも男を興奮させ魅了するモノが出来上がった。
「煩い」
つんざくような声が不愉快で腹を蹴る。
吐くものもなく、血と胃液の混じった体液がどろどろと口から出ていき、切りとった下腹部は内臓が見えそうになって、尻からは血がこぼれ落ちて床にみずたまりのようになっ
ていく。
勿体ないとは思うが、人間の身体は血液を消化吸収する機能は持ち合わせていない。絞めたときには血液は抜かないと臭くなってしまうから一石二鳥かと切り替えた。
「そんな顔をしても、もう殴るところがなくてね。それにもうすぐで時間なんだ」
〝ケーキ〟の甘い香りも、血や胃液に混じって媚薬のように男を興奮させるのに役立つ。
「さぁ、八乙女くんを喰べるまえに、この行為を終わらせようか」
よく見なさいとでも言うように、意識朦朧の八乙女の顔を自分に向かせ、切り取った皮膚を猛ったモノに巻き付けてしごく。
「君、精通はいつだったのかな。僕は人を殴ったときの快楽で射精したのが最初だったんだ、よ」
何度か擦れば射精できるほど猛っていたらしい。男は満足そうに八乙女の頭を撫でた。
「じゃあ、また後でね」
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