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「これからもよろしく!」
体格のいい男がボクの手を握ってそう言っ
た。
「誰だ?コイツ?」
初めて見る顔だった。
「これからもよろしくね。」
年配の女性がニコニコしながらそう言っ
た。
「誰ぁれ?この人?」
この女性にも見覚えはなかった。
「これからもよろちく♡」
小さな女の子が恥ずかしそうに言った。
「この子はだあれ?」
もちろん知らない顔である。
その後も次から次にボクの顔を見ては
「これからもよろしく。」
と言って笑う。写真を撮るヤツもいた。
初めて会うのに何故だか皆んな嬉しそうな
顔をしていた。
「一体どおなっているんだ……?」
ただ不思議とどの声にも聞き覚え
があった。どこで聞いたのだろう……?
その時だった。突然、フワッと身体が宙に
浮いた。
「あらまぁ。キョトンとしちゃってるわ
ねぇ。みんなあなたに会いたかったの
よぉ。」
それは一番聞きなれた優しい声。
その声は毎日毎日ボクに話しかけていた。
「元気に産まれてきてね。」と。
そして、その声の主はボクを優し
く抱きしめてこう言った。
「これからもよろしくね。」
─完─
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