雨の恋

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* ーデート前日。 「明日、どうしようか?」 「そうだなあ…」 今は、和くんの家で明日の記念日デートについて相談中。 ー和くんと付き合ってから、3回目の記念日デート。 今年も楽しみでどこに行こうか迷ってしまう。 和くんとの出逢いは、中学校。 仲良くなったきっかけは、クラスの親睦会の時だった。 たまたま座った席の隣が和くんだった。 そこから仲良くなり、気がついたらいつも私の隣にいてくれた。 そして、付き合い始めたのは、中学2年生の丁度6月の今頃。 和くんから告白されて、私も好きだったから即答で「私も好きです!」って答えたんだよね… 懐かしいな... って、思い出に浸ってる場合じゃないっ! 明日のデートプランを考えないと! 「ん〜、じゃあ、今年は、隣町にでも行かない?」 「隣町?」 「大きいショッピングモールができたみたいなの! そこでお揃いのもの買いに行かない?」 私の周りの友達カップルは、みんな彼氏とお揃いのものを持っている。 それに憧れて、私も持ちたいと思った。 私は、まだ和くんとお揃いのものを持っていないから。 「和くん、ダメ...かな?」 いつもなら「仕方ないな」なんて笑いながら言うのに、今日は何も言わない。 和くん...? 何も言わない和くんに不安を感じて、和くんの手に自分手を重ねる。 すると... 「ごめんな、雫」 そう言いながら、重ねていた手をソッとどかした。 ….え? か、ずくん? 和くんの急なその行動に顔をチラリと見る。 すると、今までにないくらい真剣な顔をしていた。 その顔にドクンと心臓が大きく鳴る。 何故か、嫌な予感がした。 「和、くん…、どうした、の?」 自分の紡いだ言葉が途切れ途切れになってしまう。 和くんは、大きく深呼吸をして口を開いた。 「雫、俺と別れてほしい。」 ...っ、 どう、いうこと...? ….私、和くんに何かしてしまっただろうか。 いきなりのことで頭がついていかない。 なんで? どうして? その言葉が私の頭の中を占める。 スーハーと大きく息を吸って吐く。 『俺と別れてほしい。』 その言葉がもう一度頭の中でリピートされる。 何かが、私の中でガラガラと崩れ落ちた。 私は、震える声で和くんに聞く。 「どうして...っ? 私...っ、なにか、した...っ?」 そう聞くのに対して、和くんは一言だけ言った。 「.....ごめん」 ごめんって... それだけじゃ、わからないよ... 「私、和くんのこと、好きだよ?」 こんな言葉を言っても意味がないのはわかってる。 でも、伝えたくなってしまう。 けれど、和くんの口から出てくるのはーー。 「...ごめんな、雫」 ーーこの言葉だけ。 それから和くんは、私が聞く言葉に対して全て「ごめんな」しか言わなかった。 もちろん、私と別れたい理由も言ってくれない。 和くん、 そんなに、私と別れたい...? 別れたい理由を言ってくれないほどにー。 和くんにとって、私との“恋”は、 そんな簡単に切れるものだったのー...? ねぇ、和くん。 私は、この先、和くんのことを忘れるなんて無理だと思うんだ。 だからね? 「和くん… 別れるかわりに、私のお願い聞いてくれる?」 「ああ、それで雫が別れてくれるなら」 私の顔を見ずにそう言い捨てる和くんに、チクリと胸が痛んだ。 ぎゅっと手を拳に握り、和くんの顔を見て言った。 「私と、明日、記念日デートしてください。」 この記念日デートが終われば、 私は彼の“特別”では、なくなるー。
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