雨の恋

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* ーガチャ。 私の部屋に入り、ベットの近くの床に座った和くん。 「はい!これ!」 ペンを和くんに渡し、受け取ってくれる。 「なあ」 「ん?」 「記念日デート、こんなんでいいのか?」 てるてる坊主の道具を机の上に置くと、口を開いた和くん。 『こんなんでいいのか?』って? ーもちろん、嫌だよ。 和くんとお揃いのものを一緒に選んで買いに行きたかった。 帰りは一緒に晩御飯を食べて、 いつもより少しだけ長く一緒にいるの。 そんな楽しいデートをしたかったよ? でも、和くんは、私のこと好きじゃないでしょ? 私の一方的な想いで、和くんと記念日デートしても嬉しくない。 今日のデートだって、私のわがままだもの。 それに、ね? 記念日デートなんて、ただの口実。 ただ、最後に会って欲しかっただけ。 和くんに対する想いに、 けじめをつけるためにー。 「こんなんって何よ〜! 私は楽しいよ?」 最後に、和くんと一緒にいれてるし!と笑顔で言った。 「雫が楽しいなら、いいけど…」 「それよりも! てるてる坊主の中はお互い見ないように書くってのはどう? そっちの方がドキドキしない?」 話を逸らし、てるてる坊主の提案をした。 私と和くんの作るてるてる坊主の中身は、 毎回、その時自分が思っている内容を詰めて作成している。 これを始めたきっけかは、私が書き始めたのがきっかけ。 てるてる坊主をそのまま作るよりも、晴れますように!と書いて作った方がより晴れる気がして…そんな思いつきがきっかけだった。 今となっては、お願い事や私と和くんのお互いの手紙だったりもする。 例えば、明日のテストでいい点取れますようにとか、 和くんと幸せになれますようにとか、 仲直りができますように、などお願い事になってたりする。 あくまでてるてる坊主だからお願い事を書いても意味ないんだけどね。 でも、この作業が楽しかったりする。 てるてる坊主の中身の確認は、 次の日が晴れたら一緒にするって和くんと決めた。 和くんの中身は私が大切に思い出として保管している。 私のは、和くんに渡してある。 「そうするか」 和くんはそう言って、ペンを握り、お互いに見えないように紙に書く。 なんて書こうかな。 髪を左の指先で固定し、右手にペンを持つ。 すると、だんだん視界がボヤけてくる。 今までの和くんとの思い出が私の中で駆け巡る。 和くんにとっては、たった2年の付き合いだったのかもしれない。 けれど、私にとっては、大切で、大事な2年の付き合いなの。 ー和くんと馬鹿なことをして笑ったこと。 ーたくさん喧嘩をしたこと。 ーたくさん不安になったこと。 ーたくさん“好き”が増えたこと。 そして ーたくさん隣にいてくれたこと。 どれも、大切でしかたない。 私は、意を決して、和くんの隣に腰を下ろす。
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