雨の恋

6/9
前へ
/9ページ
次へ
* * * ー2年後ー 「雫〜! 今日こそ、合コン行くよね?!」 「ううん、行かないよ」 「なんでよっ! 行こうよ!」 「いいよ、私なんかが行っても楽しくないだろうし...」 「そんなことないっ! だから雫、お願い〜!」 しつこく合コンに誘ってくるのは、友達の美由(ミユ)ちゃん。 正直、合コンには行きたくない。 理由は、ただ一つ。 今でも和くんのことが忘れられないから。 この2年間で和くんを忘れた日なんて1度もない。 そろそろ新しい恋をしたい、 とは、考えているんだけど、中々動けないでいる。 「う〜ん...」 「雫〜、本当のお願い! それにもう6月だよ!? 受験を考えるなら今しかない恋愛できないじゃん!?」 和くんと別れ、気がついたら高校3年生になっていた。 7月からは学校で夏休みの全てを使い受験勉強という名の夏期授業が始まる。 恋愛をする、なんて時間はどこにもない。 逆に恋愛をするなら今しかないのだ。 それで、まぁ...今に至るってわけ。 「美由ちゃん、ごめんね。 合コンだけは、行けないや」 「う〜ん、そっかあ!」 残念!と少しだけ悲しそうな顔をする美由ちゃん。 「ごめんね?」 もう一度私が軽く頭を下げると、首を左右に振り、笑顔で言った。 「ううん、大丈夫! 逆にしつこく誘ってごめんね! ありがとうね!」 「ううん、大丈夫だよ。 じゃあ、また明日ね」 「うん!また明日!」 私は、教室を出て靴箱に向かう。 そういえば、和くん。 ...今頃なにしてるのかな?
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加