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そしてさらに三か月が過ぎた小春日和の気持ちの良い日、なにとはなしに櫻子の足は離れの方に足が向かった。
最近では天気のいい日の習慣のようになっていた。だから予感も前触れもなかったのだ。
光は洋館の少し手前、茂みを抜けたあずまやに居た。
ギボウシやハギの植え込みに囲まれた八角形の白いあずまやは、腰までの板壁で囲まれており、中にはゆったりとした木製の椅子が三脚置いてある。光はそのうちの一つの椅子に腰掛け本を読んでいた。足を組んで肘掛けに肘をついて頬杖をし、本は足の上に乗っている。伏せた目元のまつ毛は長く、時折り指先で頁をめくる。
櫻子は思いもよらず見る光の姿に息が止まりそうになった。
本当に元平民?
とても気品があるし、生まれながらの上流階級にしか見えないけれど。
櫻子はもう少し、と近づいた。
何を緊張しているの。ここはわたくしの家の敷地内なんだから、堂々とすればいいじゃない。
小さな勇気を出して一歩一歩少しずつ近づけば、パキッと小枝を踏んだ音を立てた。
その音で光が顔を上げた。
そこで初めて二人の視線が合い、二人の間で小さな星が弾けた。
星のかけらが心に突き刺さったような気がした。
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