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光は成長するごとに美しさを増し、遊女たちは自分の境遇を忘れるかのように光を可愛がった。
それはまるで花のように、宝石のように。
光は遊女たちの哀しみを知ることなく健やかに育った。
遊廓主とおかみも同様に光に汚いものを見せないように気を配った。
光が過ごすのは一階の主に遊郭主夫婦が生活する一画と庭園のみ。
客を接待する部屋が並ぶ上の階には足を踏み入れてはならぬと常々言い聞かせていた。そして下働きなどさせず、あらゆる学問と芸事を習わせた。
花魁、遊女、禿に至っても光を妬む者はいなかった。この世のものではないようなその姿を見ているだけで苦しみが浄化されるような気持ちになったからだ。
光は学問も芸事も砂に水が吸収されるように身につけ、苦労も知らず成長した。
しかし十二歳となった正月、遊廓主が光に声をかけた。
「お前ももう分別のつく年齢となったね。このままでもいいのだが、大人になると仕事をしないと生きていけないから、少しずつ私の仕事を教えようね。まずは私の後ろでお客人を迎える時に一緒に頭を下げてお客人の顔を覚えるようにしよう。」
「わかりました、おとうさん。」
おはぐろどぶと呼ばれる水路や塀に囲まれた吉原の灯籠や提灯に火が灯る。そこだけが昼のように明るく照らされた大通りにわらわらと人の出歩く声が聞こえてきた。いつもは見世の奥にいた光は初めて見世の玄関で楼閣主の後ろにおかみと並んで座り、頭を下げて客を迎えていた。
藍色の着物に羽織を身につけた光は控えめながらも目を引き、来る客たちは光を見て「ほう」と感嘆の声を上げるが、それ以上のことはなかった。
そこらの遊女よりずっと美しいが、手を出せば汚れそうな透明感はちらりと見るだけで満足させた。そうして数日過ぎた。
遊廓主は何事もなく過ぎていくことに内心ほっとしていた。
だが。
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