第四章 お呼ばれ!?

3/6
前へ
/180ページ
次へ
 広大な園地には、ハーブの他にも様々な植物が育てられていた。 「あっちが四季の庭園で、その向こうが温室。そっちは薬草園で、さらに向こうはバラ園……」  その他にも、桜並木や果樹園、舟遊びのできる湖などまであると言う。  倫はただ、溜息をつくしかなかった。 「すごいですね……」 「なんたって、侯爵様だからね」  この国全てを統括する王族の、血縁に当たる一つが北白川家だ。  その当主・北白川 明将(あきまさ)公爵は、広大な地とそこに住む人々の管理を、任されている。  その嫡男である怜士が、侯爵の称号と共に、国境沿いに領地を持って国防を担っているのだ。  明将の信頼厚い怜士だからこそ与えられた、重要なポジションといえる。 (だんだん、思い出してきた)  和生と共に散策しながら、倫は自分が迷い込んだ本の世界のことを考えていた。
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

335人が本棚に入れています
本棚に追加