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「怜士さま!」
自分の名を呼ぶ声に振り向いた怜士は、薬草園の方から一生懸命に駆けて来る倫の姿を見た。
「何だ、あの少年は?」
「ずいぶんと、馴れ馴れしいですな」
「全く、無礼ですわ!」
従者たちは不審や不満を口にしたが、怜士は片手を少し上げて、それを制した。
「彼は、相羽 倫。私のティーブレイクに同席するよう、命じてある少年だ」
怜士の言葉に、周りの者は皆、口をつぐみ頭を垂れた。
そこへ、倫がようやく追いついて来た。
「怜士さま、お散歩ですか?」
お散歩!?
怜士を取り巻く人間たちは皆、赤くなったり青くなったりした。
いくらなんでも、無礼過ぎる!
いや、確かに散歩には変わりないのだが、もう少し言いようがあるだろう。
赤くなった者は憤って厳罰を希望し、青くなった者は我が主の寛大なご配慮を祈った。
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