第一章 ふと覚めてみると

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 倫は男のいかつい手に驚いていたが、彼は立ち上がった倫の姿に驚いた。  白い肌に、すらりとした形の良い手足。  まだ、あどけなさの残る顔立ちは整っていて、品がいい。  風を受けて、さらりと踊る短い髪は、絹糸のようだ。 「お前さん、やたら綺麗だなぁ!」  男に大声で褒められ、倫は我に返った。 「え? そ、そうですか?」 「もしかして、第二性はオメガか?」 「あ、はい」 「やっぱり、そうかい。じゃあ、そのことは、秘密にしておいた方がいい」 「なぜですか?」  そりゃあ、と男は肩をすくめた。 「オメガは希少な存在だ。お前さんは可愛らしいし、バレたらすぐに襲われるぞ」  それはつまり、性被害に遭う、ということだろう。  倫は恐ろしくなり、口をつぐんで、ぶるりと震えた。 「ああ、見えてきた。ほら、あの日当たりのいい所。あそこが、ハーブガーデンだ」  男は倫を連れて、ガーデンに続く緩やかな坂を登っていった。  
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