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倫は男のいかつい手に驚いていたが、彼は立ち上がった倫の姿に驚いた。
白い肌に、すらりとした形の良い手足。
まだ、あどけなさの残る顔立ちは整っていて、品がいい。
風を受けて、さらりと踊る短い髪は、絹糸のようだ。
「お前さん、やたら綺麗だなぁ!」
男に大声で褒められ、倫は我に返った。
「え? そ、そうですか?」
「もしかして、第二性はオメガか?」
「あ、はい」
「やっぱり、そうかい。じゃあ、そのことは、秘密にしておいた方がいい」
「なぜですか?」
そりゃあ、と男は肩をすくめた。
「オメガは希少な存在だ。お前さんは可愛らしいし、バレたらすぐに襲われるぞ」
それはつまり、性被害に遭う、ということだろう。
倫は恐ろしくなり、口をつぐんで、ぶるりと震えた。
「ああ、見えてきた。ほら、あの日当たりのいい所。あそこが、ハーブガーデンだ」
男は倫を連れて、ガーデンに続く緩やかな坂を登っていった。
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