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父を亡くした後、気丈な母がその跡を継ぎ社長になった。
何とか、この店を続けようと。
何とか、倫が一人前になるまではと。
母は、必死で踏ん張っていた。
子育て世代が好む、新しい商品を仕入れたり。
孫を連れて来た高齢者に、お菓子をサービスしたり。
だが、その母も、過労が引き金となって基礎疾患が悪化し、あっという間に亡くなった。
倫が高校三年生の、卒業を間近に控えた冬のことだった。
(そして僕は。母さんの納骨を終えた後、お墓の前にいたはずなんだ)
集まっていた親類たちが去り、独りぼっちになってしまった、その時。
絶望に、改めて打ちひしがれていたのだ。
だが、今の状況はどうだろう。
制服だったはずなのに、いつのまにかコットンのシャツに、デニムのボトムを身に着けている。
少し泥で汚れたそれは、作業着といった風だ。
倫の前を歩く男性も、同じような身なりをしている。
(あの人は僕を、草むしりの分際で、とか言ってたけど)
その草むしりが、僕の仕事なのかな。
本当に。夢なら、早く覚めてくれないかな。
そんなことを考えていると、ハーブガーデンに到着した。
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