第1章 立てこもり

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女子トイレに入って見回したが、人影はない。 3つあるトイレの個室のひとつの扉が閉まっていた。 さきほど、チラッと見えた女はこの閉じた扉の向こうにいるのだろう。 「おい、おまえ、悪いが今から俺の人質になってもらう。  俺は今、人を一人殺してきたところだ。  そして、今、警官がそこまで追ってきている。  これも運命と諦めてくれ。」 しかし、トイレの中からは、声どころか悲鳴も聞こえてこない。 でも、人の気配はしているし、さっきトイレに入るところが見えた気はしている。 その時、警官が公園内に入って来ようとするのが、分かった。 そこで男は警官に向かって放った。 「おい、公園内に入って来るな。  今、俺はトイレ内にいる女性を人質に取っている。  この女の命は今、俺の手中にある。  この女の命を助けたければ、公園内には入ってくるな。」
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