第1章 立てこもり

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この”命を助けたければ”と言ったところで、個室内から女性の悲鳴が初めて聞こえてきた。 やはり、女がここにいる。 そして、警官の黒木も女性の悲鳴を聞き、状況を把握したのか、公園の淵まで戻ることにした。 今は、状況を見るしかなすすべがなさそうだ。 先ほどの警官が公園の外まで戻り待機しているのを確認した男は、今度はトイレ内にいる女性に話しかけた。 「おい、もう十分な時間が経っただろう。  そこから出てこい。」 そう声をかけたが、返事はない。 しかし、そこに女性がいることは確かだ。 男は無理やりドアを開けようとしたが、鍵がかかっていた。 「おい、早く出てこい。  そうしないとドアを蹴破るぞ。」 そういったが、まったく返事はない。 無理やり開けようとしたが、カギはかかったままだし、それどころか、開かないようにドアにしがみついているようだ。
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