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(無駄に格好良いんだから)
190近い高身長に、甘いマスク。
今年四十を迎えたにも関わらず、プロのスポーツ選手のような体格はただそこに立っているだけで人目を惹き、どこぞのモデルか俳優かと、噂されるほどの美丈夫でもあった。
しかも唸るほどの金を生み出す会社を転がす実業家、となれば、数多の女性がそんな彼を放っておく訳がなかった。
…しかし、である。
『うちには毛並みの良い、大型犬がいるんでね』
そう言っては近づく女の手を振り払い、時には
『君ではうちの子を、手なずけられやしない』
と言って、自宅に上がり込もうとする女性たちが送る秋波を袖を振っている…らしい。
らしい、というのは、義晴付きの第一秘書・定国から聞かされた話だからだ。
(実際)
毎日毎日仕事仕事、時には海外へ出かけて行ったっきり、三ヶ月もこの広いマンションで『一人暮らし』をしたこともあるほど義晴は多忙を極め、たまに帰ってきてもこうして寝ていてばかりで、義晴が日々どんな仕事をして、どんな日常を過ごしているのかをよく知らないまま、出会ってから二年という年月が過ぎてしまった。
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