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だから定国も、並み居る見合い話を蹴落としてまで、無理繰り
『このお嬢さんと、会ってくださいません?』
と、見映え一つしか良い所がない女性を義晴に引き合わせようとした猛者の話を受け入れ、義晴と引き合わせようと考えたのだ。
──義晴には、幸せになってもらいたい。
けれど、身内にも、その他にも敵が多い義晴に付き添うのであれば、その『攻撃』に遭っても、折れない、芯の強い女性でなければならない、ということも、定国には分かっていた。
だから、ごり押しもごり押し、鼻息も荒く、下心を隠しもせず近づいてきた女が推す女性ならばきっと…と思い、秒刻み、分単位も惜しまれる義晴のスケジュールを割いて、見合いをセッティングした、というのに。
期待した女性は、現れなかった。
現れたのは──…
日本の法律では婚姻も結べない、淡い色使いが似合いそうな、一人の少年、だった。
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