彼の人此の人

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彼の人此の人

ッチ……。佐木はめんどいな。それにこっちは手負一人か…。死なせちゃまずいしな。 避ける、避けられる。さっきっからこれの繰り返しだ。これじゃあイタチごっこだ。 「あてらさわくん。」 「動かないでくださいね?さっきも言いましたが」 「そうじゃなくて。私、に当たんないようにしてくれなくていいから。自分のこと最優先で戦ってね」 「えっ………」 「ボス命令。」 「はい………」 そこまで言われちゃあなぁ。ボス命令背いたら処分だし。でも、まもんねぇといけなくない?っつか、卯月さん怪我の痛みとかないのかな。さっきまであんなに苦しそうな声だったのに。専念していいのは嬉しいけど…。でも、もう俺の金属片も切れそうだし。接近戦してもいいけど呆気なく終わりそうだしなぁ。どうしたものか。と、 考えた瞬間だった。 ドッバン と変な音を立てて佐木が吹っ飛んできた。 「んはぁ!?」 俺は思わず変な声を出した。そして二度見した。それくらい驚きだったのだ。それはそうだろう?だって戦っててもう手がないと思ってた瞬間に敵が吹っ飛んできたんだから。 「ったく…。まだまだだな、左沢。卯月サマ怪我させてどーすんだよ」 そんな声が窓の外ーさっき佐木がいた場所ーから聞こえた。
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