見えない友達

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 春香はミーナのことを細かく語った。赤い服を着ていること、サクランボが好きなこと、春香が本の読み聞かせをすると喜ぶこと。  そんな話を聞いているうちにミーナは本当にいるのではないか、という気になってきた。春香にとっては大切な存在なのだ。それを否定してはいけない。 「どうして、私に話してくれたの?」  春香は少し黙ると「加奈は見てくれているような気がしたから」と言った。 「加奈は本当の私を見てくれているような気がした。そうでしょ?」  春香の問いかけに私は戸惑いながらもうなずいた。  教室での完璧な春香へのもやもやした気持ちは、春香が本当の春香を生きていないことに対する違和感だったのだ。私は、それを何となく感じていた。 「誰も本当の私を見ていない。お母さんも、お父さんも先生も友達も」  春香はつぶやく。 「言ってみたら、本当の気持ちを」  私がそういうと春香は笑いながら、でも真剣に「だめだよ」と言った。 「平和な世界が壊れちゃうでしょ」  私は何も言えなくなった。 「加奈、また、私とミーナと遊んでくれる?」
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