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特にハードクリア者限定で開放されるナイトメアモードは、オワタ式なんて呼ばれることもあるほどである。他のモードでは、主人公は二回か三回お化けに攻撃されても死なないが、ナイトメアモードではもれなく一回で死亡だ。おまけに、それまで多少効果があった“松明による怯ませ効果”もゼロになっている。
ようはなんの対抗手段もなく、ひたすら一撃死のお化けの襲来を避けて避けて避けまくるゲーと化す。しかもとんでもないことに、ノーセーブで最初から最後までクリアしなければいけない。制作者であるエヌエー氏が“私には絶対クリアできません”とぶっちゃけているあたりお察しだろう。
長らくナイトメアクリア者が現れなかったこのゲーム。多くの実況者が挑んでは倒れていったコレを、真っ先にクリアしてみせた者こそ――このレイヤードだったのである。
――何度見ても、すごい。
惑いの森シリーズの動画は既に何度も見ている。それなのに、何度見ても釘付けにされてしまう。
はじめはショットガンもかくやと思うスピードで遅い来るお化けをかわしきれずにヒーヒー言っていたレイヤードが、どんどんコツを掴んで上達しクリアに近づいていくのだ。
最初にナイトメアモードをクリアした先駆者と知られるレイヤードだったが、それはたゆまぬ努力あってのことだと知っている。本人が申告している通りなら、ナイトメア挑戦してからクリアまで何十時間もぶっつづけて挑んだという。プロ実況者としての執念天晴と言わざるをえない。
――森の小道を抜けて屋敷へ行って……しかも中盤で一度屋敷の地下から森まで戻らないといけない。私だったら絶対迷う。なのに、ちゃんと道を覚えて無駄なく進めてるのがマジですごい……。
その上、当たり前だが実況である以上黙っていては成り立たないのだ。彼が沈黙するのは視聴者が静かに見たいであろうムービーシーンのみ。それ以外はどれほどの難所であっても、時に恐怖に悲鳴を上げまくっていようとも実況を続けるのだ。これが想像以上に難しいのは言うまでもないだろう。
レイヤードというホラーゲーム実況者の凄さは、このシリーズの実況だけ見ていても伺い知れるというものだ。己には到底真似できそうにない。
「レイヤードが、あの泣き虫だった遥……」
思わず声に出して呟いていた。
「……きっと、めっちゃくちゃ頑張ったんだろうな」
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