<2・これって本当に現実ですか?>

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『ご無沙汰してます、ちーちゃん。……まさか二十年近く過ぎて、ちーちゃんと再会できるなんて思ってませんでした。ちーちゃんが転校してしまった日のこと、昨日のように思い出せます』  そして、千鶴は目を見開くことになる。  なぜならば。 『つきましては……今度お会いたいです。ご飯奢らせてください。ちーちゃんが転校してからのこと、いろいろ聞きたいし話したいです』  何度も言うが、幼馴染の遥はレイヤードなのである。  あの超人気イケメン実況者、レイヤードなのである。  千鶴の推し、なのである。その彼に。 ――うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?おおおおお、おお、推しに、ご飯に誘われてるううううううう!?い、いやあの遥なんだけど!遥クンなんだと知ってはいるけれどまだ半信半疑というかそれ以上に推し、推しなのに、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?  さながら苦悩するマレーグマのごとし。千鶴はその場で頭を抱えて悶えたのだった。嬉しいのと驚いたのと信じられないのとやっぱり嬉しいのとで頭の中はごっちゃごちゃである。 「ひ、ひいいいいい……わ、私、ファンには殺されるんじゃないのかなぁぁぁぁ……!?」  実は詐欺にても遭っているのではなかろうか。もしくは、もうすぐ死にますよという神様の合図――死亡フラグというやつなのでは。  嬉しすぎるあまり、持ち前のポジティブがどこかに吹っ飛んでいってしまう千鶴なのだった。
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