魔王の威厳

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魔王の威厳

「おお! これはこれは魔王様! ご機嫌麗しゅう!」 「うえっ」 「はぁ……」  もうすぐ城から出られるという所で、ウェーブのかかったブロンドヘアーの男が話しかけてきた。  一見すると学芸団の団員にしか見えないが、どうやらお偉いさんらしい。  大臣達を引き連れているのがその証拠だ。 「なに? 僕になんか用? セルシオくん」 「はっはっは、そう身構えないでくださいませ! 用という程ではございませんので! ただ一言賛辞を述べさせていただたく!」 「ふぅん、賛辞ねぇ。 じゃあ聴かせて貰うとしようかな」  こ、こいつ……最初はめんどくさそうにしていた癖に、賛辞と聞くなり眼の色変えやがった。  「感謝の言葉もございません。 流石は我らが魔王、マリン様。 なんとお心の広い……」 「もう、セルシオちゃんったら! 口が上手いんだから!」 「ふふ」  なんだか長くなりそうな気がしたので、俺は二人の会話を耳に入れつつ、隣で眉間に皺を寄せているエリックに小声で。 「なあ、エリック。 あのセルシオってやつ、何者なんだ? 妙にマリンと親しげだけど」 「そういえば兄さんはまだセルシオ伯とは面識がありませんでしたね」  随分偉そうな奴だとは思ったが、そりゃ納得。  伯爵ならあの横柄な大臣どもを従えさせたりも出来るわな。  
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