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咄嗟に慎介の健康状態を確認してしまうほどには、七海も彼を心配していたのだろう。
と自分の内心に気づく前に、慎介ががばっと頭を下げた。
「ごめん、七海!」
「!」
「七海と話がしたかった……ずっと、謝罪がしたくて」
「ちょ、ちょっと……慎介さん、ここ会社のコンビニだから……!」
今の社内に七海の顔を知らない人はほとんどいない。将斗の黒子として立ち振る舞うしがない秘書が突然社長夫人になったのだから、それは注目されて当然だと思う。一方の慎介も元々それほど存在感があったわけではないが、彼は『社長とその秘書の電撃結婚』のきっかけを作った人物である。
将斗のおかげで七海の『不幸な花嫁』の印象は薄れつつあるが、慎介の言動はスキャンダルを生み出し、社内に絶大なインパクトを生んでしまった。一応、挙式から参加していた会社関係者はいないが、七海と将斗、そして慎介を取り巻く状況が会社中で噂になっているのは想像に容易い。
それが最近ようやく落ち着きつつあるのだから、ここで目立つような行動は絶対に避けたいところ。
焦った七海は、店内で買い物をしていた社員の視線を紛らわすように、
「大丈夫……もうなんとも思ってないから……!」
と手を振ったが、慎介は周囲の様子を一切顧みない。
がばっと上げた顔には、後悔と決意が滲んでいた。
「それでもちゃんと説明させてほしい!」
「いや、私もう本当に平気で……」
「ちゃんと聞いてくれよ、七海!」
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